harustory’s diary

日々の思索、その物語

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

現実-「死ねない」というならば、僕等は生きねばならぬ。-

「(中略)ところで、問題は、人間の悪い性質からそういうことが起こるのか、それとも人間の本性がそういうものだから起こるのか、という点なんだ。俺に言わせると、人間に対するキリストの愛は、見方によれば、この地上では不可能な奇跡だよ。なるほど、キ…

言の葉

さっきから色んな思いが胸中を去来している。この、今の思い、真実の感情をどのように書けばよいだろうかと苦心していた。感銘を受けた本を引っ張り出してはぺらぺらと読んでみたり、昔、ノートに付けていた日記を読み返していたりした。「なにか適切な言葉…

言葉の力

言葉は人を変える力をもつのか。言葉は人間が生み出した叡智であり、魂そのものか。初めに言葉ありき。創世記、神は人に言葉を託した。神の啓示は人に言葉をもたらすことであった。結果的に。言葉は最初から人には与えられてはいなかった。 もし、僕にとって…

星々

いつもどおりのある日の事君は突然立ち上がり言った「今夜星を見に行こう」「たまには良いこと言うんだね」なんてみんなして言って笑った明かりもない道をバカみたいにはしゃいで笑った抱え込んだ孤独や不安に押しつぶされないように真っ暗な世界から見上げ…

憧憬

僕は脆い人間。とてもとても壊れやすい。壊れればどうなるであろうか?大事にしていたおもちゃが破損し、修理不能となった子のように泣きじゃくるであろうか。その涕涙のわめきは悲鳴と屈辱の慟哭。 然るに、この脆さはとても微妙であり、一方では堅牢なる自…

生きる事を恐れずに

重苦しい、澱んだ空気が部屋に充満していた。僕はベッドの傍らに何か光明を模索せんと、幾つかの本をちらかしては乱読していた。哲学の本二冊、ヘッセの随想、神学、精神医学、心理学、小説…。しかし、それらはみな退屈であった。僕の心を揺り動かすことは…

言葉の遊戯

またまた内容としては陰々滅々たるもので恐縮さを禁じ得なくなってきたのですが、数多の作家達が努力と天稟とでもって築き上げてきた作品群は、苦悩こそが幸福や自らにとっての真理に近接することを教えてくれました。 書き出すと、アンナに口述筆記させて…

人間と動物

うーん、フィクション形式ばかりだなあ、などと人間味ある文をいれておかないと僕の人物像が誤解されかねない汗。 小説には、確かに作者の問題意識が具現している。それ故にこそ、小説は作者自身のモチーフを越え普遍的になり得る。 作者は小説を書く際、"…

父が不在の家庭

「俺たちは親には頼れないんだからしっかりしてくれよ。」 ああ…。あの時分、お前はこんな風なことを言っていたね。僕らはさんざん我が家の親の愚かなさまをみてきたね… 毎日毎日喧嘩を繰り返し怒号が響きわたる光景を長兄は憤りと落胆の念でみつめていたで…

彼の意識

彼は原宿の竹下通りを歩いていた。春らしい爽やかな日差しに恵まれたこの日、竹下通りには本当にたくさんの人が通りの端から端まで,極めて狭いパーソナルの空間を必死になって確保しようとコンクリートの隙間を埋め尽くしている。足と足の間から灰色の道路…

生きる

もしかしたら、お前は今、この僕のメールを苦悶し空虚に支配されながらみているかもしれない。「何を書いているんだ、何も知らないくせに!」と、憤りすら覚えては、捨て鉢な気分で絶望的な嘲笑を浮かべながら読んでいるかもしれない。 それでもいい。お前…

あんぱん

「渡したいものがあるの。」 そう言われたとき、それが何であるのかなど無論彼は想像すること能わなかった。しかし、告げられたその言葉にのせられた情調だけは、彼に、その言葉が一切の不純さなどなく、玲瓏たる素朴さだけが存していることを感じせしめた。…

マルメラードフの告白

はじめに ドストエフスキー研究において、僕は一廉の人物と思うが、これは余計な一文かもしれない。 そう懸念しながら、文章全体の色彩を濁らせるやもしれぬと思いながら冒頭に記すのは、これより叙する、長々しい引用を含めた全てを単なる既読者の為の月並…

回想

回想文。 「 今も僕はこの頃のノートを、『キミよ、未来の、きっと生きていてくれる僕よ、どうか、これを、キミの、それはキミの中に今もいる僕の、その声をどうか消さないでくれ!』そんな空白の叫びの中で聴くが為にこそ大切に抱え、そうして、ほら、こう…

賽は投げられた

「要するに私はうまい工合に、芸術という仮面を被って、愚かな弱い自分をごまかしていたのだ。哲学概論に一日かそこら頭をつっこんだり、まとまりもしない評論を読んでは、むやみに感激して赤線を引きまわしたり、トルストイが何といった、ベートーヴェンが…

A氏の痛哭

「いえいえいいんですよ。君は本当に気にしないでください。君は僕なんかのことで、こんな敗残者なんかの為に気をもむ必要なんか、まるで、まるでないのです! そもそもにして、人には人の苦悩を解決することは出来やしないのですよ。一体誰が真実作家の言…

『屍鬼』その二

「わたし、こんな命は嫌だわ。」◯◯は嘆く。か弱き◯◯は期せず異形の者となり、人間を吸血し絶息させることでしか自らの生を保つことが出来なくなった。そんな自分に苦悩する。罪深き存在だと煩悶する。そして、神様に見放されたと涙する。人としての秩序を離…

小野不由美『屍鬼』

小野不由美さんの『屍鬼』 は、人間を吸血し絶命させ生き延び続ける異能者-屍鬼(しき)-をめぐる物語をモチーフにしている。この作品には、様々な人物達の様々な生き方、価値観が顕著に描出され群像劇の様相を呈しているが、とりわけ、少女、沙子(すなこ)の…

或る無神論者の告白

「私は罪深い人間です。私はまだ死期の近いマルケルにはなれません。私はまだ自分が望む日々を過ごせないマルケルなのです。呪詛に満ち、その慟哭を罪深く思わざるを得ない分裂した強迫観念に懊悩する者なのです。小鳥や草木に愛と罪を感じるよりも、己に対…

イエス・キリストと神

私は"人間"イエス・キリストに共感するのであろう。苦難を一身に引き受けて献身と伝道に身を窶したイエス像には苦悩する人間イエスの偉大さ(それは苦悩する人間の偉大さ)が現出している。 神は厳格な父。神は裁く者。それは無慈悲で冷酷なる裁定者。アブラハ…

創造

「創出せしものが誰かの魂に響くものであり得るには、それが心の奥底から表出されたものでなければならない。」そんな風に思うのはセンチメンタルに過ぎるであろうか。ああ、この感傷が夜のせいだとしても。夜闇が私をして為すわざだとしても。それならば私…

はじまり

はじまりの朝です。この物語が、どうか言葉によって繋がる僕等の素敵な人生の一部とならんことを。