harustory’s diary

日々の思索、その物語

『屍鬼』その二

「わたし、こんな命は嫌だわ。」◯◯は嘆く。か弱き◯◯は期せず異形の者となり、人間を吸血し絶息させることでしか自らの生を保つことが出来なくなった。そんな自分に苦悩する。罪深き存在だと煩悶する。そして、神様に見放されたと涙する。人としての秩序を離…

小野不由美『屍鬼』

小野不由美さんの『屍鬼』 は、人間を吸血し絶命させ生き延び続ける異能者-屍鬼(しき)-をめぐる物語をモチーフにしている。この作品には、様々な人物達の様々な生き方、価値観が顕著に描出され群像劇の様相を呈しているが、とりわけ、少女、沙子(すなこ)の…

或る無神論者の告白

「私は罪深い人間です。私はまだ死期の近いマルケルにはなれません。私はまだ自分が望む日々を過ごせないマルケルなのです。呪詛に満ち、その慟哭を罪深く思わざるを得ない分裂した強迫観念に懊悩する者なのです。小鳥や草木に愛と罪を感じるよりも、己に対…

イエス・キリストと神

私は"人間"イエス・キリストに共感するのであろう。苦難を一身に引き受けて献身と伝道に身を窶したイエス像には苦悩する人間イエスの偉大さ(それは苦悩する人間の偉大さ)が現出している。 神は厳格な父。神は裁く者。それは無慈悲で冷酷なる裁定者。アブラハ…

創造

「創出せしものが誰かの魂に響くものであり得るには、それが心の奥底から表出されたものでなければならない。」そんな風に思うのはセンチメンタルに過ぎるであろうか。ああ、この感傷が夜のせいだとしても。夜闇が私をして為すわざだとしても。それならば私…

はじまり

はじまりの朝です。この物語が、どうか言葉によって繋がる僕等の素敵な人生の一部とならんことを。