harustory’s diary

日々の思索、その物語

或る無神論者の告白

「私は罪深い人間です。私はまだ死期の近いマルケルにはなれません。私はまだ自分が望む日々を過ごせないマルケルなのです。呪詛に満ち、その慟哭を罪深く思わざるを得ない分裂した強迫観念に懊悩する者なのです。小鳥や草木に愛と罪を感じるよりも、己に対する執着を、どうしても払拭できずにいます。私の背後にいる存在が、なにか導きの詞をくれるならば、私はそれに従いたいとも思うのに… 
 私はとても脆い人間であり、そしてこの脆さは醜陋な私の我執さに起因するのです。 「執着してもよい、それが人という存在たる所以。必然。」そうなのかもしれません。しかし、私の執着は徹頭徹尾それが己の自己顕示欲を満たすものでしかありえない類のものなのです。私が『罪深い』などと口吻を洩らしながら己の苦しみを吐露してみせても、そんな高尚な言葉は、畢竟自己愛に凝り固まった末の憂悶を神という形而上的なものにに仮託した偽瞞に過ぎないのです。それでも、その桎梏に羞恥すらおぼえながらも、その強迫観念が苦しく堪らないのです。 
 私は怖い。文字通りに怖いのです。私の苦しみが苦悩するに値しないのだと世界が声なき声で糾弾しているようで。それでも、私は奇跡を、救いを、調和を信じていたく願望します。 神なる全てが慈悲の心で私を包み続けてくれていることを祈りたいのです… 
 ああ、どうしたら平安に至れるのでしょう!安息は何処に在るのでしょうか。私はもうずっとずっと苦しみ続けています。そうして陥穽にはまっていったのです。」